このページは、『 熊本日々新聞 』 に連載した一部で、それに写真を追加したものです。

 クイバーツリー

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アロエが“核実験で巨大化”したみたい

 ナミブ砂漠の南半分あたりから、南アフリカとの国境を越えて300キロくらいまでの広い地域にかけて、前回に続いて不思議な植物を時々見ることが出来る。それは、アロエの化け物のような木で、草も生えないような岩ゴロゴロの土漠地帯に岩を押しのけるようにして生え、集落を作っている。名前をクイバーツリーと言う。
 その植物の最大の群生地がナミビアの首都ウイントホークから530キロほど南下した所にあり、そこは“クイバーツリー・フォレスト(森)”という名の公園になっている。と言っても数部屋しかない平屋建てのホテルとキャンプ場があるだけで、周りは数十キロに渡って人家も無く、緑もほとんど無い岩と砂だけの世界だ。

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ホテルの全景と裏の“森”

 ホテルの主人が公園管理官も兼ねていて、台帳にサインしてホテルの裏山にそれを見に行った。もうすでにここに来る間、そこら中で見ていたし、ホテルの庭にも植わっていたのだが、ここの裏山の群生はやっぱりすごかった。近くで見ると幹はサルスベリのように堅く、茶色でスベスベ。その太い幹の上にでかいアロエが乗っているのだ。大きい物は幹の太さ一.五メートル、高さ四〜五メートルもある。
 本によると、本当にアロエ科の植物らしい。しかしどうしてこんなに巨大で奇抜なかっこうになったのだろう。見れば見るほど不思議な植物だ。
 ホテルへ戻ると、主人が乾燥したクイバーツリーの幹の丸太を見せてくれた。年輪は無く、中は粗いスポンジ状で、中心にパイプ状の太い管が通っている。

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子供の時は正にアロエ。幹は乾燥すると“屁”のように軽い

 辞書で引くとクイバーとは、『 震える 』と『矢筒 』と言う二つの意味があるが、この管を矢筒として使ったのがこの木の語源なのだろうか。切ったばかりの時は、幹全体にドロッとした水が溜まっていて、ものすごく重いそうだ。ところが、乾燥すると太さ50センチ、長さ1メートルくらいの切り株でも片手で持ち上がるほど軽い。そして、この太さになるまで6〜70年かかるという。
 乾燥した世界を生き抜く知恵がここにある。表面は水分を逃がさないように堅く緻密になっていて、たまに雨が降るとそれを逃さないように、貪欲に溜め込める構造に進化したのだ。
 面白いことに、芽が出て数年という幼木も庭に植えてあったが、見た感じ、全くのアロエそのものであった。 

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